氷結世界の女王、烈日の復興者、太陽城の城主、氷原の支配者、ソラリスの希望、盾の王女…これらの称号は全てエリオノーラ三世、現ソラリス王朝「女王」のものである。だが、この若き君主の地位を認める者が少ないのも事実である。
旧王国の滅亡以来、彼女は成人するまで、忠実な騎士に守られながら亡命生活を送っていた。しかし、今の彼女は強き戦士であり、優れた指揮官へと成長した。復国という大きな理想を抱いているものの現実は厳しく、致し方なく傭兵として生計を立てている。
太陽城の陥落時、エリオノーラはまだオムツを履いた赤ん坊であり、旧王国の記憶は全くない。そんな彼女が「復国」という夢を抱いたのは、父親の旧臣達からの影響であり、彼女自身はそこまで実感を持っていなかった。しかし亡命生活の中で、誇りを持たなかった「王女」は、旧王国の廃墟から台頭した新興貴族から数多くの軽蔑と侮辱を受けた。こういった経験を経たことで、いつしか自分の王国を持つという意識を持ち始めたのだった。
忠実なグレゴリー卿から、エリオノーラは卓越した格闘技術を学び、師を超えるほどの実力を身につけた。そのおかげで、氷原における彼女の名声は徐々に広がっていった。
しかし、それでも皆が彼女を認めたわけではなかった。例えば、「本物の王女」を見つけたと主張するジェロニモにとっては、エリオノーラとその従者達は王族の名を騙る詐欺師に過ぎなかった。名誉を守るため、エリオノーラはこの屈強な剣士に決闘を申し込もうとしたが、グレゴリー卿に止められた。しかし心の奥底では、ジェロニモに自分を認めさせることを決して諦めてはいない。
いくつかの旧貴族の支援を得て、エリオノーラは自分の新たな王都として、とある大都市を攻略した。しかしその後、彼女は支援した旧貴族達と対立することになるのだった。
旧貴族は贅沢三昧で腐敗しきっており、民衆は重い徴税と強制労働を強いられていた。かつての亡命生活で悲惨な生活を味わったエリオノーラは、旧秩序の残酷さに気づき、苦しむ民衆を救おうと試みた。しかし、旧貴族の利益を侵害したとして、エリオノーラは裏切られ、新たな王都から追い出された。その上、「偽物」の烙印まで押されたのだ。
一からやり直すことになった彼女だったが、グレゴリー卿を筆頭に忠実な勇者達が今も彼女のそばにはいた。今や復国は彼女自身の理想となったが、エリオノーラが目指すのは、全く新しい王国である。それはより平等で、より愛に満ちたものなのだ。