ソラリス王朝の滅亡前、ファビアンは王室兵器工場のエンジニアだった。
驚異的な才能と卓越した技術を武器に、彼は若くして重職に就いた。しかし、王朝の貴族達による暴虐の数々を目の当たりにし、彼は反乱軍に加わることを決意する。
やがて「銃砲マスター」としてその名を轟かせ、彼の開発した武器は数々の重要な戦いで反乱軍を勝利に導く切り札となった。時には自ら戦場へ赴き、自らの手で鍛え上げた最強の武器を試すことがある。

かつて仕えていた王国を自らの手で葬った後、ファビアンは反乱軍を離れ、温かな家庭を築いた。

しかし数年前、ある恐ろしい吹雪が多くの命を奪い去った。その中にはファビアンの妻と子もいた。深い悲しみを紛らわせる為、彼は狂ったように仕事に没頭するようになる。
かつての名声と卓越した技術により、彼の元には引く手あまたの依頼が舞い込んだ。その中でも最も重要だったのが、「ソール男爵」と名乗る領主からの依頼であった。

ソール男爵は豊かな財力を持ち、ファビアンを非常に高く評価していた。彼はファビアンに、自分の都市を守るための、史上類を見ない巨大戦車の製作を依頼した。

この仕事にファビアンは全身全霊で取り組み、わずか数年で多くの技術的難題を克服し、戦車「テュポーン」を見事に完成させた。まるでキャタピラの上に築かれた巨大な移動要塞とも言うべきテュポーンが世に出た瞬間、ファビアンはこの上ない誇りを感じていた。

ソール男爵の正体は、パエトーンの指導者の一人であった。ファビアンが造り上げた戦争マシンを利用し、彼の大軍は雪原をれ回っては都市を次々に破壊し、数々の惨劇を生み出した。数えきれない家族が家を失うのを目の当たりにして、ファビアンは深い罪悪感を抱いた。
かつては暴政への抵抗に全力を尽くしていたのに、今では知らぬ間に暴君の手先となってしまったのだ。

そのため、ファビアンは再び新しい武器の開発に身を投じた。今回彼が作ろうとしているのは、対テュポーン用の特殊兵器である。それは装甲を貫くことができる半面、大規模な殺傷力は持たない設計になっている。彼は自分の犯した過ちを正そうとしていた。そして今回、ある勇敢かつ公正な領主が彼の新たな盟友になろうとしている。